光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「……で、最近佐藤君とはどうなのよ?メールはしてるんでしょう?」
明日美がぐいぐいと肘で押してからかいながら聞いてくる。
興味津々でニヤニヤした顔は、伸一のことを思い出して照れるあたしを面白がっていた。
「どうって……。特に何もないよ。時々メールするぐらいだし」
「またまたー!あけおめメールとかも来たんじゃないの?」
「あ、うん。来てたよ、初日の出の写真つきで」
「へえ、写真つきで!何だかんだ仲良くやってるじゃん。流歌と一緒に心配してたけど、大丈夫みたいだね、流歌」
「本当だね、明日美。佐奈の顔見たら幸せなのはよく分かるし良かった!」
二人は自分のことのように喜んで話を聞いてくれた。
ずっと心配ばかりかけてきたから、こうやって良いことを報告出来るのは本当に嬉しい。
安堵の笑顔を浮かべる二人を見ていると、あたしの顔も緩んでだらしなくへにゃりと笑った。
伸一とはあの日以来、友達みたいに仲良くしている。
メアドも交換して、時々メールを送ってくれるようになった。
あたしから送ったときも、ちゃんと返事をくれる。
ただ遠くから見つめていた頃よりも、放課後に二人で過ごしたあの頃よりも、少しだけ特別な関係。
こうやって言葉で表すには難しいけれど、心は確実に近付いていると思うんだ。
そしてお互いが頑張ったその時に、本当に心が近付けると信じてる。
だから今はこの関係で十分だった。
むしろ贅沢すぎるぐらいだよ。