光を背負う、僕ら。―第2楽章―
今朝届いた伸一からのメールを思い出すと、ますます口元が緩んだ。
新年の挨拶がシンプルに綴られたメールと、雪が積もった町に昇った初日の出の写真。
メールが届いてすぐに外を見たら同じように太陽が昇っていて、伸一と同じ景色を共有出来たことが嬉しかった。
伸一も同じことを考えていてくれたなら、それほど嬉しいことはないよ。
「佐奈ったらニヤニヤしすぎ!なんかラブラブすぎてこっちまで照れるよ!」
明日美に顔を覗き込まれて、咄嗟にコートの袖口で緩んだ口元を隠す。
でもきっと頬が真っ赤だから、今さら隠しきれるわけがない。
「ら、ラブラブって……!まだそんなんじゃないもん!」
「“まだ”だってー!予定はあるんだ!」
「ち、違う!」
完全に空回り状態だ。
明日美は恥ずかしがっているあたしを面白がっているし、あたしは墓穴掘ってるし……。
仕方なく流歌に目線で助けを求めると、「しょうがないね」と顔で表現された。
呆れているみたいだけどいつものことだから明日美も慣れているみたいで、すぐに仲介してくれた。
「はいはい、二人ともそのへんでやめておきなよ。神社も近付いてきたことだし。それに明日美、羽目外してはしゃぎすぎると雪で滑って転ぶよ」
「ちょっと流歌!滑るとか禁句でしょ!受験控えてるのに縁起悪いよ!」
「あっ」
明日美がはっとして気付いたことに、流歌も言われて「しまった」と苦笑した。