光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「小春ちゃん、昨日のテレビ見たよ!おめでとう!
コンクールで優勝なんてすごいね」
後輩達と軽く話をしながら荷物を部屋の隅に置いていると、背後で賑わう空気を感じた。
振り向くと、ちょうど部屋の反対側の壁際に人だかりが出来ているのが一目で分かる。
それはあたし達と同じように部活に来た小春ちゃんを、部員が囲んで出来たものだった。
「みんな、好きだよね。あの話」
スターのように取り囲まれる小春ちゃんを見ていると、明日美が少し呆れたように顎でそっちを差した。
「当たり前だよ。だって、テレビで取り上げられたんだよ?
みんな注目するに決まってる」
あたしも小春ちゃんを見るけれど、少し羨ましいような悔しいような、何とも言えない複雑な気持ちになった。
――小春ちゃんは、この前の日曜日に行われたピアノコンクールで優勝した。
それが、このことの始まり。
あの東條学園の体験入学以来、小春ちゃんは以前に増してピアノのレッスンに力を入れてきたらしい。
そしてこの前のコンクールで確実に培った実力を発揮して、優勝の地位を手に入れた。