光を背負う、僕ら。―第2楽章―



「……いや、大丈夫だよ!落ちると滑るは違うから!」


「いやいや流歌、今落ちるって言葉使っちゃったし!」




何このやりとり……。

仲介してくれたはずの流歌が、何故か今度は明日美と騒いでいるんだけど。



しかも禁句をすでに使いまくっている二人のやりとりが一番受験生らしくなくて、見ていたあたしは思わず笑ってしまった。



新年早々、この二人のやりとりは騒がしい。

でも明るい年明けは、何だか楽しい気分にさせてくれたから嫌いじゃない。





結局盛り上がった状態のまま神社に辿り着いた。



驚くことに神社の周辺は大混雑で、人混みの熱気と盛り上がりはあたし達三人のものよりはるかに大きかった。



だから少々のおしゃべりは、簡単に掻き消されてしまう。




「すごい人だねー」


「うん、ほんとすごい。明日美、はぐれちゃダメだよ?」


「子供じゃないから大丈夫だよ!」


「いや、子供でしょ」


「えっ」


「未成年だし子供だよ」


「……ああ、そういうことね」




クスクスと話をしながら人と人の間を縫って、何とか参道を歩いていく。



参道の脇には出店も開いているし、さすが元旦とあって賑わっていた。


小さな神社に周辺の住民が一気に押し寄せてきているみたい。



だけどお社に続く列に並んでいると、意外とすぐに順番が回ってきた。



三人同時にお賽銭箱に小銭を入れる。


例年は100円だけど、今年は500円を投入した。



神様からしたら大した差なんてないかもしれないけれど、あたしからしたら十分奮発している。



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