光を背負う、僕ら。―第2楽章―
申し訳ない気持ちとありがとうという感謝の気持ちを込めて真藤君に目線を送る。
するとそれを感じ取ったらしい真藤君は、にっと笑ってくれた。
「……良かったな、伸一と気持ちが通じて。それに言った通りに、全部上手く言っただろう?」
「うん、全部真藤君の言う通りだったよ。あのとき背中を押してくれてありがとう」
得意気な顔で笑われてすべて納得する。
真藤君と最後に話したときに、すべてを見透かしているようなことを言われたけれど。
あれは全部、真藤君の策略だったんだ。
あたし達を上手く結び付けてくれるための……。
もしかしたら伸一の気持ちもすでに把握済みだったのかもしれない。
そう考えると、真藤君はどれだけ優しい人なのだろう。
本当に、どれだけ感謝しても足りないね。
「……あ~!佐藤君ってば、佐奈が真藤君と仲良さげだからやきもちやいてる!」
「ばっ……!ちげーし!つうかお前、さっきからいちいちからかうな!」
真藤君としばらく話しているとそんな声が聞こえてきた。
確かにさっきから伸一は機嫌悪そうな表情でこっちを見てるなとは思ってたけど。
まさか、やきもちだったなんて……。
明日美の思うままにからかわれている伸一をみんなで笑った。
やきもちをやいてもらえる存在になれたのは嬉しいけれど、こそばゆくて仕方ない。
だけど何だかこういうの……幸せだね。
赤面したままの伸一を眺めていると、肩にポンッと手を乗せられた。
手の先を追うと、真藤君が少し真剣な表情であたしを見ていた。