光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「本当に良かったな。麻木幸せそうだから安心した」
「真藤君……」
もしかして、まだ……。
嬉しそうに言ってくれる言葉の端々に複雑な切なさを感じて、ついそんなことを思った。
だけど真藤君は真相を教えてくれないまま、フッと笑って表情を変えてしまう。
「あいつが本当にいいやつなのは俺が保証するし大丈夫だ。だから今までつらい思いした分、あいつと幸せになれよ?」
「……うん、ありがとう。あたしが言うのもあれだけど……真藤君も幸せになってね」
「あぁ、ありがとな」
あたしと真藤君が抱く思いは別々だった。
でも真藤君の優しさは何度も助けてくれたから、友達として一緒に過ごした日々も決して無駄ではなかったと思える。
だから最大級の感謝を込めて笑った。
今度は真藤君も、幸せになれますように……。
あたしの幸せを最後まで願ってくれた真藤君に似合うような、素敵な人が現れたらいいなと思った。
「……さて、そろそろ邪魔者は退散するとするか」
「えっ……きゃっ!」
吹っ切ったように笑った真藤君にトンッと背中を押されると、意外と勢いがあったらしくてつんのめて前に倒れそうになる。
だけどちょうど前にいた伸一が、こけそうになる直前で身体を支えてくれた。
思わぬ接近に心臓が暴れ出す。
「おっ、と……。大丈夫か?」
「だ、大丈夫!」
どぎまぎしながら何とか受け答えをする。
ドキドキしながら伸一から離れて振り返ると、真藤君がにやっと笑っていた。
その表情が悪巧みを考えているときの明日美にそっくりなものだから、驚くというよりも嫌な予感しかない。