光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「もうお参りは済んでるし、あとは二人で出店でも回って楽しんでこいよ」
「あっ、それナイスアイデアだね!じゃああたし達はお邪魔虫だし、さっさと退散しちゃおうか~」
「そうだね!せっかく二人が会ったんだもん。二人で楽しんでもらった方が良いよね」
「えっ、みんな何言って……」
真藤君の言葉に次々と賛成の声が上がる。
当の本人達なんて意見を言う暇もない。
「じゃあ、そういうことで退散しようか。またね、佐奈!」
「二人とも仲良くねー!」
「またね……じゃなくて!ちょっと二人とも!」
明日美と流歌はあたしの制止の言葉を聞き入れることなく、さっさと人混みに紛れて去っていってしまった。
呆気にとられるあたしと伸一に、さらにとどめをさすように真藤君が言った。
「じゃあ、また学校でな」
「ちょっ、達也まで!」
真藤君も伸一の言葉を聞くことなく、あたし達のもとから離れていってしまった。
たくさんの人が行き交う境内の中では、あっという間にその姿を見失ってしまう。
二人きりで取り残された状況に、人が歩いている道の真ん中で途方に暮れてしまった。
「みんな行っちゃった……」
「そうだな……」
伸一も嵐のように荒らして去っていった三人に驚いて呆然としている。
……これからどうするんだろう。
みんなは二人で楽しめばと言ってくれたけど、伸一は全然そんなこと思っていないかもしれないし……。
「回ろうか?」
「えっ……?」
困惑しながら隣を見ると、照れたように伸一があたしを見ていた。