光を背負う、僕ら。―第2楽章―
首の後ろに手を当てながら伸一は口をもごもごと動かした。
「……せっかくだし、二人でその辺でも回ろうか?」
「い、いいの?」
「おー、もちろん。麻木が嫌じゃなければだけど……」
「全然嫌じゃないよ!むしろ……一緒に回りたいって思ってたから」
「良かった!俺も回りたいって思ってたんだ」
視線が重なって表情を確認すると、嬉しそうに笑ってくれる。
同じ気持ち、同じ表情。
お揃いのものがあるって、こんなにも嬉しいものなんだね。
「はい、甘酒」
「わぁ、ありがとう」
境内の一角にあった石材で出来たベンチに並んで座る。
無料で配っていたらしい甘酒を伸一は二人分貰ってきてくれた。
さっそく飲むと程よい甘さと温度が、すっかり冷えていた身体に染み込んでいく。
人混みから少し離れたベンチには日差しが直接当たるから、座っているとさらにポカポカと温まった。
「……」
「……」
甘酒を口に含む間、自然と沈黙が訪れる。
せっかくみんなが二人きりにしてくれたんだから、何か話さないと……。
気まずいのが嫌で伸一に視線を向けると、ちょうど伸一の口が動いた。
「……この前さ、達也から聞いたんだ」
甘酒が半分ほど減った紙コップを膝の上で持ちながら、伸一が重い口調でそう切り出す。
突然真藤君の名前が出てきたことに少し驚きながらも、静かに言葉の続きを待った。