光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「あいつ……麻木のことが好きだったらしいな。俺そのこと、今まで全然知らなくて。この前初めて達也から聞いて知ったんだ」
「……そう、なんだ」
ドクンドクンと、うるさい音があたしを徐々に支配していく。
別に真藤君の気持ちが悪いことでもないのに、泣きたくなるのはどうしてだろう。
苦しいのはきっと、気持ちをカミグアウトした真藤君と、今になってそれを知ってしまった伸一だ。
あたしが小春ちゃんから大切な話を聞いたように、伸一も真藤君から聞いていたなんて……。
申し訳ないっていう謝罪の思いと、話してくれてありがとうという感謝の思い。
それが伸一の胸の中でごちゃごちゃと騒いでいることは、考え込みながら絞り出される声となって伝わってくる。
あたしもそうだったから、それは余計に分かった。
小春ちゃんから伸一との話を聞いたとき、二つの思いで胸がいっぱいになったから。
「実は俺、麻木への気持ちに気付いてから色々と達也に相談してたんだ。でも達也、自分の好きな人のこととかは話してくれなくてさ。好きな人がいることは知ってたけど、まさかそれが麻木だとは思わなくて……」
「……」
「俺、最低だった。あいつの気持ち、何も考えずに相談してたって気付いたら、すげー情けなくなったんだ」
伸一が遠くの人混みを見ながら長く息を吐く。
あたしも詰まっていた息を吐き出したら、白くなって空に消えた。