光を背負う、僕ら。―第2楽章―



「でも、あいつが言うんだよ。“絶対おまえが麻木を幸せにしろ”って。達也だって麻木のこと好きなはずなのに、あいつは俺の背中押してくれたんだ。……馬鹿だよな、こんな俺のこと応援してくれるなんて」




伸一の横顔はどこか悲しげなのに、見ていると温かい気持ちになった。



……だって、分かるんだよ。

伸一が真藤君にとても感謝してること。



そしてあたしは、真藤君がどこまでもあたし達のことを気にかけてくれる優しい人だって知っている。



だから伸一が、同じようにそのことを知ってくれたことが嬉しい。



あたし達は、たくさんの人に支えられてるんだよ。

そのことは、絶対に忘れちゃいけない……。



伸一をずっと見つめていると、恥ずかしそうに笑った。




「俺……頑張るよ。あいつに言われたからってわけじゃねぇけど、達也の気持ち以上に麻木のこと幸せにするから。麻木を想う気持ちは、誰にも負けない」




そう言って、膝の上に置いていた手をぎゅっと上から握られた。


手袋をしているけど、伸一のぬくもりは確かに伝わってくる。



あたしも伝えたいことはたくさんあったけど、ドキドキして言葉が上手く出てこなくて。

今はただ、首を縦に振るだけで精一杯だった。



そして握られた手が恥ずかしいままチラリと伸一の顔を見ると、頷いているあたしににこりと笑いかけてくれた。



それだけでもう、あたしは十分幸せだよ――。



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