光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「渡すのすっかり忘れてたけど、はい、これ。お参りする前に、麻木のために買っておいたんだ」
「えっ、あたしが貰っていいの?」
「もちろん!麻木に渡したくて買ったんだからな」
「あ、ありがとう」
突然渡される紙袋に戸惑いつつも受け取る。
手袋を外してさっそく袋を開く。
そして中身を取り出すと、それは神社ならではのものだった。
「あ、可愛いお守りだね」
「だろ?麻木ならそう言ってくれると思った」
くしゃりと伸一が笑う。
手のひらに収まるお守りをそっと手で包み込んでから、もう一度ありがとうと言った。
ピンク色のお守りには“合格祈願”と書かれていて、あたしのために伸一が選んでくれたのだと思うとそれだけで御利益がよりありそうな気がするからすごい。
頬が緩んでしまうけどどうしようもなかった。
白い紐の部分を指先で持って吊るした状態で眺めていると、伸一がその隣に水色のお守りを吊るした。
「俺とお揃いなんだ」
同じように金色の糸で“合格祈願”と刺繍されている色違いのお守り。
風に吹かれてゆらゆらと揺れる二つのお守りが触れ合うと、何だかキスしているみたいでドキドキした。
実際に触れているのはお守り同上だけど……。