光を背負う、僕ら。―第2楽章―



席に着いて身の回りの準備を整えながら、前方に広がる景色を見据える。



大きな教室に集まった挑戦者たちの数は想像以上に多かった。



他の教室に案内されてる人も見かけたけど、一体どれだけの人が受験してるんだろう……。



次から次へと教室に乗り込んでくる人の数を思うと、気が遠くなりそうだった。



だけど、圧巻されている場合じゃないよね……。



東條学園は初等部からのエスカレーター式の学校だから高等部からの入学試験は難関なはずだけど、入学を望んでいる人はこれだけたくさんいる。



それはつまり、みんな同じってことなんだ。

それぞれが目指すもののために、最初の難関を突破しようとしている。



その事実を目の当たりにして、あたしは気を引き締めて集中した。



ここにいる全員が並大抵じゃない苦労と努力を重ねてきたように、あたしの意志も生半可なものではない。



だから今は、精一杯やりきるんだ――。





試験の順番は筆記、面接、課題曲と自由曲の実技、それから自作の曲の実技という流れで行われる。



筆記試験が始まるまでは心臓が異常にうるさく鳴り響いていたけど、始まったあとは意外とリラックスして取り組むことが出来た。


過去問を何度も解いてきたことが効果を表したらしい。



続いては面接。


この時は再び緊張がピークに達してどうなることか不安だった。



けれど面接は圧迫感があるというわけではなく、志望動機と将来の夢を聞かれただけで終わってしまった。



たぶんどれだけの覚悟を持ってここに来たのか、それを試していたのだと思う。



例えこの学園にふさわしい実力を持っていたとしても、途中の挫折に負けてしまうような意志ではこの先やっていけないのだから。



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