光を背負う、僕ら。―第2楽章―
弾き出した曲の始まりは、静かな葛藤のような音だった――。
目的地も分からないまま広大な場所に放り出されて、道標さえない状態。
それをイメージした旋律が続く。
そのあとには激しい抵抗のような音に変わっていく。
まるで暗闇の中を無我夢中でとにかく前へ突っ切ろうとするように。
その次はまた、落ち着いた音に変わった。
ただ、悲しみの海に飲み込まれたようにゆらゆらと彷徨う旋律になる。
だけどここから曲は、徐々に明るいテンポに変わっていくんだ。
真っ暗な世界で一つ、また一つと光の道標を見つけていくように。
ここは一番大事な盛り上がりの部分だから、気持ちも最高潮になっていった。
そして盛り上がった曲は、ゆっくりと穏やかなメロディーに変わっていく。
苦しいときも迷ったときもいつも傍にあった光の存在。
それに気付いたときの温かさと感謝を噛み締めるイメージへと変わっていくんだ。
そうして最後に曲は、未来への希望を見据えて終わりに向かう。
ゴールはまだまだ先にあるから気を抜いてはいけないという誓いを胸に、たくさんの光に支えられながらこれからも前へ進んでいく。
そういったイメージであたしの曲は終わるんだ。
……~♪~♪♪~♪♪~――
盛り上がった曲が終わっていくのに伴って、あたしの気持ちも落ち着いていく。
その途中で頭に浮かんでいたのは、ピアノに出会ってから今日まで続く長い道のりの記憶だった。