光を背負う、僕ら。―第2楽章―
白く眩い光は時々姿を隠してしまったけれど、ちゃんと見付けることが出来た。
あたしはたくさんの光に背中を押してもらい、ときには誘導してもらいながら、やっとここまで自分の足で歩いてきたんだ。
だからもう、何も怖いものなんてない。
曲が終わる寸前、あたしの口角は自然な流れで上がっていた。
この瞬間をずっと待ち侘びていた心に比例して笑顔が溢れ出す。
――楽しい……!
ここまで来ると、あたしを支配する感情はもうそれだけ。
大好きなピアノを、大好きで大切な人達に応援されながら弾くことが出来る。
こんな状況が楽しくないはずがなかった。
だからこそ、あたしは最後まで弾む気持ちのまま丁寧に音を繋いだ。
こんなにも楽しみながらピアノを弾けるこの瞬間が、ずっと続いていけばいい。
そう、密かに願いながら……。
あたしの中に余韻を残したまま演奏が終わった。
鍵盤から指を離す瞬間はとても名残惜しかったけど、自然と笑顔が浮かんでいた。
身体を巡る爽快感は、まるで全速力で走りきったときの感覚に似ている。
……あぁ、そうか。
あたしは夢に向かう道を、やっとここまで走ってきたんだ。
光で明るくなった道を走ることが出来たから、きっとこんなにも清々しいんだね……。
あたしは気持ちが冷めないうちに静かに席から立ち、先生達に向かって礼をする。
最後に見た学園長は満足そうに笑っていたから、あたしも今はこれだけで満足だった。
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