光を背負う、僕ら。―第2楽章―
それに合格発表が今日であることは知っていたから、一応覚悟もしていたつもり。
だから今更緊張して、こんなところで突っ立っていても意味ないよね……。
そう思って、ドアのすぐ前に立ったときだった。
――ガラッ!
「……!」
「おお、何だ麻木。なかなか来ないと思ったらこんなところにいたのか」
まだ何もしていないのに職員室の入り口が自動で開いて、驚いて顔を上げる。
すると担任の先生が拍子抜けした様子であたしを見据えていた。
あぁ、ダメだ……。
先生の顔を見たら覚悟なんてすぐに意味を無くしてしまった。
「せっ、先生……」
「ははっ、えらく自信なさげな顔だな。でもとりあえず、中に入りなさい。そこに突っ立ってたら通行人の邪魔になるからな」
狼狽して忙しなく瞳を動かしていると、職員室の中へ手招きで誘導された。
心の準備はままならないままだけど、仕方なく足を踏み入れる。
「失礼、します……」
「麻木、こっちだ」
さっきまでいた廊下のピリピリした冷たい空気とは違い、コーヒーの香りを纏った暖かい空気に迎えられる。
先生だったり生徒が放課後の雰囲気に押されて行き交う中を、先生に呼ばれるままに移動する。
連れられて行ったのは、職員室の一角の接客スペースだった。
資料棚と衝立(ついたて)で仕切られているその場所に案内されるや否や、ソファーに座るように促される。
接客用のソファーにおずおずと腰を下ろせば、先生は軽い声の調子で言った。