光を背負う、僕ら。―第2楽章―



「ちょっと待っててくれ。今、届いた入試結果を持ってくるから」


「あっ、はい……」




さっきから再び心臓が痛いぐらい鳴り響いている。



だからまだ結果を知りたくないっていうのが本心だけど、先生はそんなことお構い無しだった。



あたしを置いて、そそくさと仕切りの向こうに行ってしまう。



……どうしよう。

いざこうなると、やっぱり結果を知るのは怖いよ。



スカートで覆われた膝の上で、重ねた指先がカタカタと小刻みに震えている。



職員室の中は暖かいはずなのに、足の先からスーッと身体が冷えていくみたいだった。



仕切りの向こうのざわめきが遠い。




「麻木、お待たせ」




先生の声にびくりと反応しつつ、ゆっくりと目線を上げた。



先生はローテーブルを挟んだ向かい側に腰を下ろす。




「これが、入試結果だ」




先生はB4版サイズの黄土色の封筒を、あたしに見えるようにテーブルの上に置いた。



宛て名にはこの中学校名、そしてあたしの名前が印刷されている。



差出人のところは、もちろん東條学園だった。




「……先生はもう、結果を確認したんですよね?」




封はすでに開けられていた。


恐る恐る先生の表情を確認すると、さっきまでとは違って真剣な瞳が向けられていた。




「あぁ、そうだ。学校宛てにもなってるから先に確認させてもらったよ」


「……そうなんですか」




先生はすでに封筒の中身を見ている。



目の前にいる先生が結果を知っているかと思うと何だか恐ろしくなって、緊張の度合いが高まっていった。



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