光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「麻木、自分の目で確かめてみなさい」
先生は視線を封筒に向けてそう言う。
あたしも、横たわって静かにその時を待っているそれに目を向けた。
先生の視線を感じる中で、恐る恐る封筒を手にする。
大した重さも厚みもなかった。
本当に、ゆっくり。
今にも止まってしまいそうな微かな動きで、封筒の中に手を入れた。
中ではカサリ、と音がして、指先が薄っぺらい手触りの紙に触れる。
その瞬間、ドクンと一際心音が響いて全身に伝わった。
だけどもう怖じ気づいている場合ではないから、目を瞑りながらも覚悟を決めて潔く紙を抜き出した。
そして瞼を閉じたまま紙を封筒の上に重ねて持つ。
今、目を開ければ、すぐ前に入試結果があるはず……。
未だに怖くて怖くて仕方がない。
でもそれ以上に、信じたい気持ちが大きくなってきているのも事実だった。
きっと大丈夫だって。
あたしのピアノも認められるぐらい上達したんだって、信じたいんだ――。
恐る恐る、睫毛を震わせながら瞼を上に上げた。
視界が明るくなって、ぼやけていた世界がだんだん鮮明になっていく。
そんなはっきりと見えた風景の中で最初に飛び込んできた文字。
あたしはそれに言葉を失い、今度は視界が涙によってぼやけて揺れた。
濃く、鮮明に書かれていた文字は――“合格”の二文字。
あたしが望んでいた結果が、ちゃんとそこに存在していた。