光を背負う、僕ら。―第2楽章―
小春ちゃんは笑い声をゆっくりと消して落ち着かせると、真剣な声で言った。
「……ねぇ、良かったら一緒に結果を言い合わない?」
「えっ?」
「あっ、嫌だったら別に良いの。無理強いはしたくないし」
小春ちゃんはそう言うつつも、あたしの顔色から様子を窺っているみたいだった。
同じ学校の受験を受けているのだから、気になるのもしょうがない。
あたしだって口にすることは出来ないけど、正直気になっている。
同じ夢を抱いて、一緒に難関に体当たりした仲間だもん。
笑顔で良い結果を迎えたんだって信じたいから、聞きたくもなるのかもしれない。
「良いよ!一緒に言い合おっか。明日美と流歌にも一緒に聞いてもらいたいんだけど、小春ちゃんは大丈夫?」
「もちろん良いよ」
小春ちゃんは明日美達のことを見て微笑んだ。
放課後が始まってしばらく経ったから、人通りが落ち着いた廊下。
そこに、少しだけ緊張した空気が流れる。
小春ちゃんは心の準備が出来ているのか視線だけで確かめてきたあと、ゆっくりと口を開いた。
「……じゃあ、せーので言おうか?」
「うん、そうしよう」
唾を飲み込んで口の中を潤す。
ピリッとした冷気が身体を包み込んでいた。
「じゃあ、言うよ?」
「うん」
「せーの……」
「「合格!!」」
小春ちゃんの合図と共に息を吸い、そのまま声を吐き出した。
そしてそれは見事に全部の文字が、小春ちゃんのものと一致して重なっていた。