光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「伸一、佐奈ちゃんから結果聞いてあげなよ。佐奈ちゃんだって、伸一に知らせたいって思ってたんでしょう?」
伸一からあたしへと、小春ちゃんは視線を向ける。
その表情がとても確信を持っていたことに驚いた。
何も言えないあたしも、伸一と同じで図星を指されていたから。
伸一にも、この入試結果を知らせたい。
そう思っていたのは本当だけど、それはまだ一度も声に出して言ったことがなかった。
それなのに、ばれていたなんて……。
どうしたものかと戸惑っていると、小春ちゃんが固まっているあたしの手を引いて歩き出した。
そして抵抗する間もなく、伸一の目の前に連れていかれた。
「ほら、せっかくだし二人で帰りなよ」
「えっ、……えぇっ!?」
「小春、おまえ勝手すぎるだろ……」
「良いじゃない。だって、待ってたんでしょう?伸一が帰らないなら、あたしが佐奈ちゃんと帰っちゃうけど?」
小春ちゃんはあたしの両肩に手を置いて、伸一に向かってにこりと笑った。
……これは、絶対に何かを企んでいる。
そう思える顔だった。
展開が何だか、あの日に似ている。
真藤君の手によって伸一と二人きりにされた初詣の日。
今の小春ちゃんはあの日の真藤君と似たような表情をしているものだから、伸一と小春ちゃんの間に挟まれてあたしは戸惑ってしまう。
困ったように二人の顔を交互に見比べていると、伸一がムスッとした表情に変わった。
そしてぐいっと、カバンを持っていない方の手首を引かれる。