光を背負う、僕ら。―第2楽章―



「きゃっ!」




勢い余って、伸一の胸の中に身体が飛び込んでいく。



伸一の温もりにどぎまぎしていると、頭上で芯のある声が言った。




「麻木は俺と帰るんだよ!」




肩を抱き締められて、ドキンッと甘い痺れが全身に伝わった。



ちょっ、ちょっと!

心臓がもたないです……!



恥ずかしさと緊張から助けて欲しくて、目だけで救いを明日美や流歌に求める。



だけど二人は楽しそうにニヤニヤとあたしと伸一を見るだけだった。



小春ちゃんは、満足そうに微笑んでいる。




「……まったく、世話のかかる二人だね。最初から素直になれば良かったのに」




そして小春ちゃんはやれやれといった感じでそう言うと、あたし達の横を通りすぎた。




「じゃあ佐奈ちゃん、また明日ね」


「小春待てよ!」




前を向いたままひらひらと手を振る小春ちゃんを引き止めたのは、真っ直ぐに響く伸一の声だった。



伸一はあたしから離れて、少しだけ小春ちゃんに歩み寄る。



小春ちゃんは驚いた様子で振り返った。




「……どうしたの?」


「どうしたじゃねーよ。……小春は入試、どうだったんだ?」


「えっ、あたし?」


「そうだよ。俺はおまえと付き合ってるときからずっと小春のことを応援してたんだから、結果が気になってるのは麻木だけじゃねぇ。別れたからって応援をやめるわけねーのに、結果教えてくれないなんてつれねぇじゃん?」




斜め後ろから見る伸一の表情は少し寂しそうで、哀愁が漂っていた。



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