光を背負う、僕ら。―第2楽章―
伸一らしいと思った。
好きとかそういうことではなくて、分け隔てなく接することが出来る。
心から応援して、気にかけることが出来る。
それが伸一の良いところで、あたしはそんな彼を好きになったんだ。
きっとそれは小春ちゃんも同じだったに違いない。
伸一の優しさに触れて涙ぐみつつも、ニコッと笑って胸を張りながら言った。
「……伸一、応援してくれてありがとう!あたし、無事に合格したよ!」
「……そうか、良かった!おめでとう!」
小春ちゃんの笑顔に負けないぐらいの晴れやかな表情を、伸一は小春ちゃんに向けていた。
二人の笑顔には思いやりが含まれていて、見ているこっちまで優しい気持ちになれる。
あたしのせいで二人を切り離してしまった気がしたから、こうやって再び二人が笑い合ってくれるのは嬉しかったんだ。
ただの、自己満足かもしれないけど……。
小春ちゃんはもう一度伸一にありがとうと言うと、清々しい表情で昇降口を後にした。
明日美と流歌も、あたし達を気遣うようにしてそそくさと先に帰っていってしまった。
伸一と二人きりになるのは緊張しちゃうから、ある意味複雑な気遣いのような気もするけれど……。
「……それで、その、結果はどうだったんだ?」
伸一と初めて一緒に歩く帰路。
すっかり冷え込んだ冬の空気に溶け込む沈黙はしばらく続いていたけど、ふとした瞬間に伸一が口を開いた。
あたしを見る表情は固く強張っていて、様子を窺っているみたい。