光を背負う、僕ら。―第2楽章―
……ずっと、聞くタイミングを考えてくれたんだね。
そう思える伸一の態度に嬉しくなった。
立ち止まってにこりと微笑みながら伸一を見上げれば、伸一の足の動きも止まる。
表情がふっと、緩んだ気がした。
「……あのね」
「……」
「合格、したよ……!!」
そう告げる瞬間、嬉しさで声が震えた。
大好きな人に、こうやって目の前で大事な結果を教えられる。
喜びを分け合えることが、素直に嬉しかった。
「……っ!良かった~!」
伸一はあたしの言葉に安心すると力が抜けたらしく、膝に手をついて俯いた。
でもすぐに顔を上げて、満面の笑みをプレゼントしてくれる。
「麻木、合格おめでとう!!俺まですっげー嬉しい!」
「……うん!ありがとう!あたしこそ佐藤君に今まで応援してもらって、今日もこうやって喜んでもらえるのすごく嬉しいよ!」
何だか、涙が出てきそうだった。
悲しくて流すわけじゃない。
涙は嬉しくて幸せなときにも流れるんだ。
「麻木……」
本当に泣きそうになってしまう瞬間、伸一の瞳も揺れていた。
そして気配が近付いたと思う刹那。
歩道に伸びる影が重なり、あたしは温もりに包まれる。
……伸一に、抱き締められていた。
「……佐藤君?」
抱き締められるときの振動で零れた涙の雫が、スーッと頬を流れて透明な道筋を残していく。
「佐藤君、どうしたの……?」
震える声で名前を呼べば呼ぶほど、背中に回った伸一の腕に力が込められる。