光を背負う、僕ら。―第2楽章―
……そうか。
約束したもんね。
自分達が進むべき道に歩いていくというやるべきことが出来たら、気持ちを伝えてくれるって。
あたしももう一度、伸一への想いを伝えると約束した。
その二人の約束が果たされる日が、もうすぐそこまで近付いているんだ。
それは嬉しいことのはずなのに、もうすでに今から心臓がバクバク鳴っている。
緊張で声は震えるけど、真っ直ぐ伸一を見た。
「……うん、いいよ。あたしも、もう一度佐藤君にピアノを聞いてもらいたい。でもあの部屋を使うには先生の許可がいるから、また頼んでみるね」
「ああ、ありがとう。ごめんな、わがまま言って」
「ううん、いいの。あたしが佐藤君に出来るのは、これぐらいだから……」
「いや、そんなことねーよ!」
ちょっと俯き加減で言った言葉は、伸一の力強い声ではねのけられた。
その影響で頭が一気に上がると、伸一の揺るぎない瞳があたしを見ていた。
「……俺だって、同じなんだ」
「えっ?」
「麻木が俺に言ってくれたこと、俺にも当てはまってるんだ。麻木のピアノは、俺にとっての応援曲だよ。頑張りたいときは、いつもあの部屋で聞いた曲を思い出してた」
「あたしの曲で、頑張れたの……?」
「すっげー頑張れた!だからな麻木、俺もおまえがいてくれるだけでここまで頑張れたんだ。それぐらい俺の中で、麻木の存在が大きくなってるってことだ」
伸一はそう言うと、恥ずかしそうに笑っていた。
もう、それだけでも分かる。
伸一の気持ちが誰に向かって大きくなっているのか。