光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「佐奈」
「……っ!」
泣き顔を見られるのが恥ずかしくて俯きながら目元を拭っていると、名前を呼ばれると共に身体がぬくもりに包まれていた。
嬉しさで震える背中を、力強い腕に抱き締められる。
突然のことに驚くけど、腕は自然と伸一の背中に回っていた。
「今まで、いっぱい傷付けたよな……。それでもずっと、俺のことを好きでいてくれてありがとう」
耳元でそう囁かれる。
伸一がそう言ってくれるだけで十分だった。
報われないと感じても、消えなかった感情。
そんな感情でも抱き続けてきた時間が無駄じゃなかったって、伸一の言葉が知らせてくれる。
それが嬉しくて何度も頷いて返事をすれば、伸一は身体を離して微笑みかけてくれた。
「これからはもう、つらい思いも悲しい思いもさせない。絶対に幸せにするから、そばにいてくれるか?」
伸一はあたしの目尻に残った涙を指先で掬うと、真っ直ぐな視線を向けてくる。
きりりとした真剣な表情が気持ちの大きさを示しているみたいで、嬉しくなるのと同時に胸の奥が熱くなった。
だからあたしも精一杯の笑顔で気持ちを伝える。
あたしの心はずっと、伸一のものだから――。