光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「もちろん、そばにいるに決まってる。でも、幸せにしようって頑張ってくれなくてもいいよ。あたしは伸一と同じ気持ちでそばにいられるだけで、十分幸せなの」
「何か……佐奈らしい言葉だな。俺だって、佐奈がいたらそれで良い。でもな……」
伸一の手があたしの両手を包み込む。
優しくて力強い大きな手のひらに包まれる自分の手は、とてもちっぽけに見えた。
「好きな子は、幸せにしたいって思うもんなんだよ」
朝日に照らされて、室内が急激に明るくなる。
すると伸一の頬が赤く染まっているのが見えて、甘い心音が全身に響いて広がった。
好きな人を幸せにしたい。
それは恋をすると芽生える特別な感情なのかもしれないね。
だけど片思いと両思いのときでは、その感情は少し異なっている気がする。
片思いをしているときは、伸一が誰かと一緒にいることで幸せならそれで良いと思ってた。
……でも、今は少し違う。
あたしが伸一の笑顔の理由になりたい。
あたしの存在が伸一の幸せの理由になれなら、それ以上の幸せはないよ。
「……それならあたしだって、伸一のことを幸せにしたい」
「じゃあ、俺達同じこと思ってるじゃん」
伸一は、ははっと楽しそうに笑った。
あたしも明るい笑顔になる。
繋いでいる手をお互いに引き寄せて、二人で笑い合った。