光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「お互いを幸せにすることで、二人で幸せになろう。これから、ずっと」
伸一の言葉に、約束と誓いの気持ちを込めて頷く。
指切りはしなくても、繋いだ手が未来を見据えている気がして心強かった。
片思いで歩んできた旅路はここで終わり。
だけど、二人で歩む旅路はまだ始まったばかりだ。
伸一はそんなことさせないと言ってくれたけど、きっとつらい思いも悲しい思いもしてしまう気がする。
だけど伸一があたしのそばに寄り添い続けてくれる限り、きっと弱い自分に立ち向かっていける。
伸一が笑いかけてくれるだけで、きっとまた過酷な道も歩いていけるよ。
だから、大丈夫。
優しい眼差しを向けてくれる愛しい人の笑顔は、あたしにそう思わせてくれたんだ。
「これからよろしくな、佐奈!」
「こちらこそ、よろしくね。……伸一!」
……ねぇ、伸一。
今はまだ気恥ずかしくて声にして伝えることは出来ないけど、あなたのことが大好きです。
好きになってくれて、ありがとう――……。
◇◆◇◆◇
「今日で卒業だなんて、何だか実感湧かないよね」
卒業式も、最後のクラスでの集まりも、すべてが終わった。
こんなにも早くすべてが過ぎていくなんて、信じられなかった。
昇降口で明日美が漏らした言葉通り、卒業という実感はあたしにもない。