光を背負う、僕ら。―第2楽章―



「みんな……ありがとう!今日の卒業式の演奏、すごく良かったよ。みんなならきっと、これからも良い演奏が出来るよ。だから、これからも頑張ってね!」


「麻木先輩……」




パートリーダーの子が言葉を詰まらす。



あたしもみんなの演奏を思い出したら胸がいっぱいになって、唇を噛み締めながら涙を堪えた。




「先輩が丁寧に指導してくれたから、私達は成長出来たんですよ」


「そうです!いつも一人一人の細かいところまで見て指導してくれたから、私達も頑張れたんです」


「優しくて気遣いが出来る先輩だからこそ、頼りになったんですよ」




みんなが口々に喋り出す。



あたしとしては特に何かを教えてあげたという感覚はなかったから、みんなの言葉はどれも驚きだった。



きっと後輩達にとっては、あたしの些細な言葉も行動も、何かしらの原動力になってくれたのだろう。



あたしのことをよく見てくれていたことを、今になって知った。



卒業という日にそれを知ることが出来たのは、ある意味良かったかもしれない。



あたし……音楽に関わって良かった。



一番愛しているのはピアノだけど、フルートも大好きな楽器だったもの。



たとえ使う楽器が違っても、音楽に馳せる思いはみんな真剣で同じ気持ち。



だからこそ伝わるものがあったって、信じたくなる。



音楽に乗せた心と心の繋がり。


あたしは吹奏楽部に入ったからこそ、それをこうやって感じ取れているんだ。



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