光を背負う、僕ら。―第2楽章―



みんなと音楽を通じて関われたこと、そしてあたしの思いがちゃんと伝わっていたこと。


それが嬉しくて、少しだけ目尻に涙が浮かんだ。



卒業式の途中にもたくさん泣いたけど、まだまだ涙は溢れてきそうだった。



瞬きをして涙を落とすと、みんながあたしと似たような表情をしている。



切ない笑顔、だけどどこか誇らしい笑顔。



パートリーダーの子は乱暴に目元を擦ると、にかっと眩しい笑顔を見せてくれた。




「先輩、本当に今までありがとうございました。これから東條学園でも、素敵な音楽を奏でてください。私達も先輩の背中を追いかけながら頑張っていきます!ありがとうございました!」


「ありがとうございました!」




彼女の言葉が合図だったみたいで、他の子達も声を合わせて礼をした。



あたしも感謝の気持ちで頭を下げる。



グラウンドの乾いたサラサラの砂に、一粒の滴が染みを作った。




「みんな、こちらこそありがとう!これからも大好きな音楽に関わりながら頑張ります!みんなのこれからの未来も、楽しみにしてるね」




一足先に、夢の舞台に向かう。


そのことに不安がないわけじゃないけど、今までの苦難を思い出せばまだまだ頑張れる気がしていた。



それに……。

みんなの声援と思い出が、きっとあたしの背中を押してくれる光になってくれそうだったから。



夢に向かう旅路。

それに突き進むのは、今度はみんなの番だ。



またみんなが夢を追い求めたその先で、再会出来たら良いね。



あたしと過ごした日々が、いつかみんなの背中を押す光となってくれますように……。



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