光を背負う、僕ら。―第2楽章―



「佐奈ちゃん!」




3人で笑い合ったところで、背後から名前を呼ばれた。



振り返ると、小春ちゃんが小走りで駆け寄ってくるところだった。



小春ちゃんもすでに後輩達からプレゼントを受け取ったらしく、小さな花束が小春ちゃんの動きに合わせて揺れている。



あたしの姿を見つけてすぐに走って来たらしく、小春ちゃんは衝突しそうな勢いであたしのすぐ前に現れた。




「ちょっと佐奈ちゃん!なんで教えてくれなかったの!?」


「えっと……何のこと?」


「伸一とのこと決まってるじゃない!二人とも付き合うことになったんなら、教えてくれたっていいでしょう!?」




興奮気味の小春ちゃんの口から飛び出してきた言葉に驚く。



どうして伸一とのことを、知ってるんだろう……。



目を丸くしていると、小春ちゃんは口を尖らせて拗ねた様子で言った。




「二人がちゃんと付き合うことになったのか、ずっと気になってたのに、どっちも全然教えてくれないから嫌になっちゃうよ。あたしから聞くよりも話してもらうのを待つ方が良いと思ってたのに、二人とも話してくれる気配すらないんだもんね。おまけに今日の佐奈ちゃんと伸一、お互いの姿を見るたびになんか嬉しそうに笑ってるしさー。気になってしょうがないに決まってるでしょう?」


「な、なんか、ごめんね……?」




捲し立ててくる小春ちゃんにたじろぎながらも謝ると、ふぅ~と溜め息をつかれた。



呆れられたのかと思って顔色を窺うと、意外なことに笑顔だった。



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