光を背負う、僕ら。―第2楽章―



試しに曲を弾いてみたものの、これが良いのか悪いのか、それを判断する基準さえ分からない。



でも、分かったことが一つある。



自分の思うままに作った曲を好きなように弾くことが、とても楽しいんだってこと。



誰かが作った曲を弾くのは、もちろん好き。



自分では思い浮かばないリズムやテンポで、メロディーを奏でられるから。



……だけど。


自分で作曲したものを弾けば、より一つ大きな満足感を得られる。




「こうやって弾くのも、案外好きかもしれない」




嬉しさからか、思わず独り言が多く飛び出す。



気付けばあたしはノートのページをめくり、次の曲を弾き始めていた。



詩につけたタイトルは


《恋風》



この語句の意味のとおり、思うままにならない恋の切なさを冷たく身にしみる風に例えて作った詩だから、このタイトルをつけた。



さっき演奏した《僕の居場所》という曲と詩は、お母さんにピアニストになることに反対されてからの気持ちを込めて作った。



いわゆる、“夢”や“居場所”をテーマに作った。



だけどそれとは反対にこれは、“恋する気持ち”を込めて書いた詩だ。



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