光を背負う、僕ら。―第2楽章―



伸一の登場にぎょっとした小春ちゃんは、咄嗟にあたしの後ろに隠れる。



そんな小春ちゃんに、伸一はため息をつきながら言った。




「小春、おまえなぁ……。余計なこと喋りすぎだろ」


「いいじゃん。全部本当のことだし」


「だからってなぁ……。好き勝手人から話聞き出したりして、小春の方がよっぽど自己中でわがままじゃん」


「そんなことないわよ!伸一の方がずっとがわがままだし!佐奈ちゃんだって、あたしより伸一の方がわがままだと思うでしょう?」


「えっ!えーっと……」




まさかこのタイミングで話を振られるとは思っていなかったものだから、かなり狼狽してしまった。



正直なところ2人とも少しわがままかもとは思ったけど、さすがにこの場では言いづらい……。



だから唯一助けてくれそうな立場にいる真藤君に視線を向けて訴える。



すると一瞬、呆れた様子で笑われた。



でもそのあとにちゃんと助け船を出してくれるのが真藤君だ。



いがみ合っている二人の間に入って、真藤君は言った。




「ほら、二人とも。麻木も困ってるし、それぐらいでやめとけ」




むきになっていた二人もさすがに真藤君の言葉で我に返ったらしく、ばつが悪そうにしながらしゅんと大人しくなった。



あたしとしてはその姿に安堵する。




「あー……、佐奈ちゃん、ごめんね?ついつい伸一と言い合っちゃた」


「ううん、いいの。小春ちゃんは、あたしのために言ってくれたみたいだし」


「佐奈ちゃん……、ありがとう!」




しょんぼりと項垂れながら謝ってきた小春ちゃんに笑みを向ければ、瞳を潤しながら抱きつかれた。



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