光を背負う、僕ら。―第2楽章―
小春ちゃんの肩越しには、さっきの態度を振り返って気まずそうにしている伸一が見える。
だから伸一にも「別に大丈夫だよ」という思いを込めて、笑いかけておいた。
すると伸一もふと気が楽になったようで、照れたように控えめに笑い返してくれる。
言葉がなくても気持ちが通じ合っているようなやりとりに、何だか嬉しくなった。
「……なーんだ。あたしが心配しなくても、二人ともすっかりラブラブだね」
あたし達のアイコンタクトに気付いた小春ちゃんが、ニヤリと楽しそうに笑いながらそう言う。
茶化されることに慣れていないから、顔が一気に熱くなった。
「らっ、ラブラブって……!別に、そんなんじゃないよ」
「ははっ、そんな否定しなくてもいいのにー。まぁ、初々しい反応が佐奈ちゃんらしいけどね」
小春ちゃんは優しい表情でくすりと笑うと、2歩ほど後ろに下がってあたしと伸一に向き合った。
背筋が真っ直ぐ伸びる小春ちゃんの姿につられて、あたしの気持ちも自然と引き締まる。
「二人とも、これからも仲良くしてね。あたしは二人が上手くいってくれて、本当に嬉しくて幸せだから」
「小春ちゃん……ありがとう」
「ありがとな、小春」
伸一とほぼ同じタイミングでお礼を言ったせいで言葉が重なる。
あまりにも息が合っていることに、思わず3人で笑った。