光を背負う、僕ら。―第2楽章―
伸一が嬉しそうに笑うのも無理はない。
だって友達がすごい結果で合格してるんだもん。
あたしも嬉しくなって、ついついニコニコと笑いながらお祝いの気持ちをもう一度伝える。
真藤君は最初、勝手に盛り上がっているあたし達に呆れていたみたいで。
小さくため息を溢していた。
だけどどうやら満更でもないらしく、照れた様子で控えめに心境を話してくれた。
「……二人とも、ありがとな。俺、お前らがいなかったらきっと蓮波高校は受けてなかったと思う。蓮波高校を目指したきっかけは、二人みたいに自分の夢を追いかけたいって思えたことだから。俺の夢は二人に比べたら小さいかもしれないけど、それでもこれからお前らを見習って頑張るつもりだよ」
新たな決意を抱いた表情は、今日という日にふさわしい明るい表情だった。
眼鏡のレンズの向こうの普段はミステリアスな瞳も、今は力強く光っている。
まだまだ前を見据えている志は、あたしが見習いたいぐらいだ。
「真藤君なら、きっと夢を叶えられると思う。だから大丈夫だよ。それにね、夢に大きいも小さいもないよ。どんな夢でも、抱いた人にとっては大切な気持ちの表れだもん。だから真藤君は真藤君の夢を忘れずに、これからもその気持ちを大事にしてね」
あたしも、伸一も、真藤君も。
目指した場所やこれから歩いていく道は全部バラバラだ。
だけど、誰の道が良いのかなんて決められない。
その道を選んで良かったのかって判断が出来るのは、その道を最後まで歩いた人だけだから……。