光を背負う、僕ら。―第2楽章―



もしかすると、目的地に辿り着けずに行き詰まるときも来るかもしれない。



だけどあたしは、自分が歩いた道を悔やんだりして、誰かが歩いた道を羨ましく思うことはない気がするんだ。



だってあたしは“ピアニストになりたい”という夢を抱いて、その道を歩くと決めたんだもん。



自分の意志で選んだ道なら、どんな苦悩が訪れても、最後まで歩ききってみせる。



……そう思えるようになるのはきっと、夢を抱いた人ならみんな一緒なんじゃないかな。



だから、人の夢に大きさなんて関係ないと思えるの。



人の気持ちは不確かな部分もある分、ものさしなんかじゃ測りきれないほど無限大で力強い存在だから――。




「大きいも小さいもない、か。麻木らしい言葉だな、ありがとう」




あたしに向かって微笑んだあと、真藤君は伸一にも笑いかけた。




「じゃあ俺、今度こそそろそろ帰るわ。……あっ、そうだ。伸一、これからは麻木のこと泣かせるなよ?今まで散々苦しませてきたんだからな」


「そんなの達也に言われなくても分かってるって。つーか、学校は違ってもこれからもまた遊ぼうな!俺ら親友だし!」




伸一は、にっと歯を見せて楽しそうに笑った。



無邪気な笑顔は隣で見ているだけでも温かい気持ちを分けてもらえる。



きっと伸一とそっくりな笑顔を浮かべている真藤君は今、もっと温かくて優しい気持ちが胸に広がっているんだろうな。



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