光を背負う、僕ら。―第2楽章―
この詩を書いたときに頭の中に浮かんだのは、もちろん伸一のこと。
小学生のときから、ずっとずっと大好きな人。
だけど彼は、小春ちゃんの彼氏。
どんなに伸一のことが好きでも、思い続けていても、あたしの想いは叶わない。
そんなあたしの恋を“恋風”という言葉と重ね合わせて作った詩を、あたしは再びピアノで曲を弾きながら歌った。
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たとえば出逢いが
二人にとって運命的なものだったら
僕の姿は君の瞳に
強く焼きついていたのだろうか
そんな有り得ることのないことを考えて
今日も君の後ろ姿を追う日々です
寒空の下で 街中を歩けば
笑顔であの人と手を繋いで
幸せを描く君を見かける
その幸せに僕も触れてみたくて
そっと手を伸ばして見たけれど
冷たい風が頬を刺して
僕の思考を遠ざける
どうすれば君に手が届くの
もどかしさよりも
不安や悲しみよりも
どうか僕にも幸せをください
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歌い終えた瞬間、心の中に冷たい風が吹き抜けたような気がした。
たとえどんなに伸一が小春ちゃんのことを好きだとしても、あたしの気持ちは変わらない。
この詩を曲にして歌うことで、そのことを再確認した気がする。