光を背負う、僕ら。―第2楽章―



この詩を書いたときに頭の中に浮かんだのは、もちろん伸一のこと。



小学生のときから、ずっとずっと大好きな人。



だけど彼は、小春ちゃんの彼氏。



どんなに伸一のことが好きでも、思い続けていても、あたしの想いは叶わない。



そんなあたしの恋を“恋風”という言葉と重ね合わせて作った詩を、あたしは再びピアノで曲を弾きながら歌った。




******



たとえば出逢いが


二人にとって運命的なものだったら


僕の姿は君の瞳に


強く焼きついていたのだろうか


そんな有り得ることのないことを考えて


今日も君の後ろ姿を追う日々です



寒空の下で 街中を歩けば


笑顔であの人と手を繋いで


幸せを描く君を見かける


その幸せに僕も触れてみたくて


そっと手を伸ばして見たけれど


冷たい風が頬を刺して


僕の思考を遠ざける



どうすれば君に手が届くの


もどかしさよりも


不安や悲しみよりも


どうか僕にも幸せをください



******




歌い終えた瞬間、心の中に冷たい風が吹き抜けたような気がした。



たとえどんなに伸一が小春ちゃんのことを好きだとしても、あたしの気持ちは変わらない。



この詩を曲にして歌うことで、そのことを再確認した気がする。



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