光を背負う、僕ら。―第2楽章―



すぐ目の前の校門を先に通り抜けた二人を、あたしはその場で立ち止まって見ていた。



足を動かしたいのに、どうしても思い出に後ろ髪を引かれてしまって出来なかったんだ。



だけど足が動かない一方で、思考だけは活発に働いている。



頭の中には、みんなの顔が鮮明に浮かんできた。



夢を反対されたけど、本当には誰よりもあたしのことを考えてくれていた家族。


たくさんお世話になった先生。


同じ時間を過ごしたクラスメート。


音楽で繋がり合った部活仲間、そしてライバル。


楽しいときも苦しいときも寄り添ってくれた友達。


笑顔であたしの気持ちを受け入れてくれた大好きな人。



この1年間だけでも、たくさんの特別な人と関わり合ってきた。



そしてそんな人達と過ごしてきた時間は、どれも大切な宝物だ。



今となっては長い苦しみの時間も、ちゃんとあたしに必要な時間だったって思えるんだ。



不思議だよね。

あれだけ反対されていた夢でも、自分の足で今も目指し続けてる。



それだけあたしは、遠回りしても歩いてきたってことなんだ。



自分だけの、夢への旅路を――……。



< 481 / 485 >

この作品をシェア

pagetop