光を背負う、僕ら。―第2楽章―
すぐ目の前の校門を先に通り抜けた二人を、あたしはその場で立ち止まって見ていた。
足を動かしたいのに、どうしても思い出に後ろ髪を引かれてしまって出来なかったんだ。
だけど足が動かない一方で、思考だけは活発に働いている。
頭の中には、みんなの顔が鮮明に浮かんできた。
夢を反対されたけど、本当には誰よりもあたしのことを考えてくれていた家族。
たくさんお世話になった先生。
同じ時間を過ごしたクラスメート。
音楽で繋がり合った部活仲間、そしてライバル。
楽しいときも苦しいときも寄り添ってくれた友達。
笑顔であたしの気持ちを受け入れてくれた大好きな人。
この1年間だけでも、たくさんの特別な人と関わり合ってきた。
そしてそんな人達と過ごしてきた時間は、どれも大切な宝物だ。
今となっては長い苦しみの時間も、ちゃんとあたしに必要な時間だったって思えるんだ。
不思議だよね。
あれだけ反対されていた夢でも、自分の足で今も目指し続けてる。
それだけあたしは、遠回りしても歩いてきたってことなんだ。
自分だけの、夢への旅路を――……。