光を背負う、僕ら。―第2楽章―



この部屋の防音設備が悪いことには気付いていたけど…。



そんな堂々と歌声まで聞こえているんだったら、結構大問題だったりもする。




「…あー、そこまで漏れてなかったんじゃね?俺はたまたま先生に頼まれて、この校舎に来たから聞こえてきただけだし」


「先生に頼まれて?」


「そう。俺、今日の日直だっただろ?それで先生に雑用手伝ってくれって頼まれて、この校舎の資料室に来てたってわけ」


「そうだったんだ」




そこまで音漏れしていないことを知ることが出来ただけで、だいぶ心は軽くなった。



だけど問題はまだ山積み状態だ。




「っていうか、麻木はなんでここでピアノ弾いてたわけ?」


「そっ、それは……」




この場にいる伸一をなんとかしないと、どうやら問題はすべて解決出来ないみたいです……。



どこかから入り込む隙間風が、何やら波乱の予感を示しているみたいだった。



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