光を背負う、僕ら。―第2楽章―



小春ちゃんは、以前より遥かに才能を身に付けている。



テレビで見たコンクールの映像でそれを聞いた時は、本当に鳥肌がたった。



きっと画面を通さずに聞いたら、あの音色はもっと透き通っていてすごいはず。



きっと“天才”と呼ばれることに恥じないように、努力もしてきたと思う。




……だけど。

それに比べてあたしは、決意してからも何も出来ずにいるだけ。



お母さんはあれ以来ピアノを弾くことを許してくれたけど、東條学園に入学することはまだ反対されたまま。



話し合っても一向に首を縦に振ってくれないお母さんにあたしもなすすべなくて、状況はずっと平行線を辿っている。



それに、許してくれたピアノを家で弾いるとお母さんが時々羨ましそうにあたしを見ていて、正直伸び伸びとピアノの練習をすることも出来ない。



お母さんの気持ちは分かるけど、せめてもう少しじっくりとピアノが弾けたらいいいのに…。





「佐奈はそう言うけどさ、もっと自分に自信持ちなよ。
自分で作曲も出来て、本当にピアノが上手いんだから」



願望ばかり考えていると、明日美に励ますよう背中を叩かれた。俯きがちだった背筋がしゃんと伸びる。



こうやって応援されると、少しは自信がついたように思えるから不思議だ。



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