光を背負う、僕ら。―第2楽章―
それぞれの道しるべ
「あっ、この曲!多分俺も知ってる!確か…えーっと…」
「トルコ行進曲だよ」
「そう!それだよそれっ」
頭の中で引っ掛かっていた疑問が解けると、伸一はとてもすっきりとした笑顔を向けてくれた。
あたしはその笑顔がを向けられるその瞬間がとても好き。
だけど、にやけてしまう顔を隠すのがいつまで経っても苦手だった。
伸一とこうやって同じ時間を過ごすようになって、約1週間。
以前は慣れない伸一との会話に尻込みばかりしていたけれど、最近は見ての通り。
「あっ、これも知ってる!」
「さて、誰の曲でしょう?」
「だっ、誰って作曲者か!?
俺そこまで分かんねぇよ~」
伸一の反応をいちいちを気にするようにしていた会話が、今はすらすらと返せるようにまでなった。
伸一の方も以前は遠慮しているような部分があったけど、今は何一つ気にすることなく色々と話してくれるようになった。
まるで、夢を見ているみたい。
小学生の頃に“運命仲間”なんて言ってはしゃいでいた、あの頃の夢を……。
それぐらい今は親近感があって、幸せだと思える時間が続いていた。