光を背負う、僕ら。―第2楽章―
伸一。
あなたがどこまでも強がるからあえて遠慮して言えなかったけど。
きっとね。
小春ちゃんは伸一が思っているよりもずっとあなたを信用してると思うんだ。
とても大好きだからこそ、何も言わないってこともあるはず。
大好きで信用している人なら言葉にしなくても自分のことを理解してくれているって、きっと思っちゃうんだよ。
「…大丈夫だよ!そんな風に思わなくても。だって二人を見てたらお互いのことを想ってるのがよく分かるぐらい、小春ちゃんと佐藤君はとても素敵なカップルだから」
あたしは小春ちゃんとの仲を応援することでしか、伸一の幸せを作ることは出来ない。
だからどれだけ心が痛んだって、笑ってそう言うことしか出来なかった。
「…うん、そっか。大丈夫だよな。てか、そんな風に言われると照れるんだけど」
「えっ、そうなの?」
さっきまでは落ち込んでいたり無理に笑っていたのに、伸一は今とても照れくさそうに顔を隠していた。
腕で顔を隠しているつもりだろうけど、耳まで赤くなっているから隠しきれていない。
それで余計に胸を締め付けられたけど、あたしは伸一が幸せならそれでいい。
そう、思うことにした。