光を背負う、僕ら。―第2楽章―
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「今日配った進路希望調査票は、来週中には提出するように。
そろそろ志望校を確定しないといけない時期だから、保護者の方とよく相談してきなさい」
ホームルームの時間。
担任の先生が進路に関する大事な連絡を丁寧にする。
だけど頭の中ではここ最近の悩みが渦巻いていて、必要なことを記憶出来ずにいた。
進路希望調査票…か。
未だにお母さんのことを説得出来ずにいるのに、相談なんてしようがないじゃん…。
「おーい、佐藤。ホームルーム中に寝るなよ」
「…ん~。だって先生、俺今日寝不足なんだって。ちょっとぐらい寝かしてくれよー」
「寝不足なのは分かったけど、今は大事な連絡してるんだからちゃんと聞いとけ」
「…はいはい」
注意されても机に突っ伏して寝ている伸一に先生は呆れて、もうそれ以上は何も言わなかった。
教卓の目の前の席だというのに堂々と寝られる伸一には、なんだかある意味尊敬さえしそうだ。
そんな伸一の背中を、あたしは複雑な気持ちで見つめていた。