光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「ごめんね、二人とも。急に呼び出しちゃって」
「いえ、全然大丈夫です」
「大丈夫ですよ」
先生はあたし達の返事を聞き終える前に、手に持っていたプリントをそれぞれ一枚ずつ渡してきた。
「これ、東條学園の入試情報なの」
……やっぱり。
予想通りの展開に、心が震えた。
それはプリントを受け取る手にまで伝わり、クシャリと乾いた音を立てる。
「二人ともこの前の進路希望調査で、第一志望校を東條学園にしていたでしょう?
だから、これを渡すことにしたの」
先生の言葉で、今度は鼓動が跳ねたのを感じた。
そういえば……そう書いたんだっけ。
もう何回書いたのかさえ分からない進路希望調査。
数が増すにつれて確定段階に近づくそれを、ついこの前も提出した。
だけど、そこに書いた志望校は今までとは違う。
あたしは自分の手で第一志望校の欄に、『東條学園高等部』と記入した。
――お母さんには、内緒で。
バレたらさすがに、勝手なことをしたと怒られてしまうかもしれない。
だけど、それでも書きたかった。
あたしが目指している……行きたい場所は、そこなんだって。