雨上がりの虹の下で【完結】

ケースをタオルで拭きながら雨が止むのを待っていた。少し収まった気がするけど、まだ結構降っている。

家に電話して迎えに来てもらおうと思ったけどまだ誰も帰っていないようで電話に誰も出なかった。

「いっか」諦めて雨が収まるのを待ちながら、今度、コンサートで演奏する楽譜を見て時間を潰していた。

「あれ?植本?」楽譜から目を離して声がする前を見る。

「三吉くん…」
「やっぱり植本やん」三吉くんは自転車をはしっこに止めてこっちに走ってきた。

「傘、持ってないん?」
「うん…」こんな短期間に2度も話せる機会がくるなんて思わなかった。

それにあまり通らない学生の中にまさか三吉くんが居たとはびっくりだった。


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