雨上がりの虹の下で【完結】
ザー
前触れもなくザーザー降りだした大雨。
「急に降るとかありえへんっ」制服がびちょびちょになりながら必死にクラリネットのケースを守るように走る。
こんなん一年前と一緒やんか。一年前を繰り返すように同じように雨が私の上から容赦なく降ってくる。
3分くらい走るとあの木の下に逃げ込む。一年前よりも制服がびちょびちょになってしまう。
「今日は何かついてない」去年のように彼がここを通ればいいのにそう期待する。
でもさっき学校を出るときにはすでに道場の明かりは消えていた。きっと彼は既に家に着いているだろう。