雨上がりの虹の下で【完結】
「あっ、虹!佳乃、上!」空を見上げると一年前のようにきれいに輝いている七色の虹。
大志と話しているうちに雨も止んで虹が顔を出していた。
「一年前と一緒やな」大志が微笑む。
「うん」大志がポケットから小さな箱を取り出して私に見せてくる。
「安もんやけどな」そう言って箱の蓋を開ける。私はびっくりして大志の顔を見つめる。
「俺はこの先もずっと佳乃のことだけが好きやから」私の手を取って左手の薬指に銀色の指輪をはめる。
「俺が佳乃を養えるくらいの大人になったら結婚してください」
「大志……」指輪をはめた逆の手で思わず口を押さえてしまう。