雨上がりの虹の下で【完結】
君が大好きです。 大志side

1;雨降る2時間前 now


中学2年のとき夢中になって獲った黒帯を腰にしっかり絞める。気合いを入れるために顔をパンパン叩く。

道場に向かおうとしたけどその前に携帯を開いた。
「まだ来てへん」
3時間目の授業中に彼女の佳乃に送ったメールの返事がまだ返ってこない。

昨日、ドラえもんのひげの話なんかしてムキになってしまったから怒っている佳乃。

カバンの奥にしまっている小さな箱。今日は佳乃と俺が付き合って一年が立った大事な記念日。

安物やけどずっと渡したいと思っていた。

デートしたときに指輪をつけて歩いているカップルを見て彼女は小さな声で「いいな」と、呟いた。

その時から一年記念日には指輪を渡そうと決めていた。

でも肝心の指輪を渡す本人が口を聞いてくれない。どうにかして許してくれる方法を考えてジュースを持っていったりしたけど全く動じない彼女。

付き合い立ての頃は拗ねる行為なんてなかったし、喧嘩も全くしたことがなかった。

でも段々慣れてきて彼女は拗ねたり怒ったり、本当の姿を見せてくれるようになった。

怒ったりする彼女が実はめちゃくちゃ可愛かったり。

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