百物語
「………」

ベッドに横になる。


今夜で…全て終わる。


終わるがそれと同時に…今日が今までと同じなら私は飲まれて終わるんだ。


そう思うと焦りと不安で余計目が冴える。

でも、今日は少し早く眠りにつけそうだ。


さっき母親と弟に「外に出て何してたんだ!」とめちゃくちゃ絞られた。

……いや、さっきというか帰ってからかれこれ2時間の話か。


もちろん心配してくれてるのは分かる。


病院に行っても、カウンセリングを受けても…私はよくならなかった。


軽い鬱だと言われただけ。

薬を飲もうが、安定剤を飲もうが……私には効く筈もない。


それでも、2人はその言葉を信じて私にやれ薬だ、やれカウンセリングに行けだ耳にタコが出来るほど言ってくる。


それが現実的ではあるけど。


私の場合は夢魔が原因で、寝るとき以外は普通なのだからそんなもの効く訳がない。


でも、そんな話は誰も信じるわけがない。


また、私の幻覚、幻聴だと言われるだけ。


私だって病気だと思ってた。


だが、違っていた。


正直…私のためにと言う2人の言葉は重荷だ。


辛くて…うんざりしてしまってた。

心配してくれてることはありがたい。

だけど…もうこれ以上何を頑張れば良いって言うんだ。

本当に心も壊れかけてるのかもしれない。

壊れた頭、心では何も頑張ることができない。


いや、今まで努力はしていたんだ。これ以上頑張れないだけで。


消えてしまいたいと私を弱らせるのが作戦なんだろうが。

そこまで、私は心身ともに疲れていた。


どんな結果であれ…2人の小言を聞くのはこれで最後なんだろう。


そう思っていつもよりもきちんと聞いた。


だから、とても疲れていたんだ。


そのまま飲み込まれるように眠りにつく私。


音を出さなければ…いいんだ。


それだけで…終わるのだからそれでいい。


スッと私の意識は暗闇に消えていった。









どれだけの時が経ったのか。


私は夢の中に居た。

目を開けるとそこは暗く薄気味悪い廃墟。


ーー来た。


私は静かに深呼吸する。


終わらせるんだ、全て。


慎重に中に入って行った。


…ん?何故、わざわざ何か起こるであろう中に入ったかって?


それは私も考えたことがあった。


だが、その行為は…それだけで私が終わることを意味してる。

一度実践した。


その夢が始まると5分後に影が現れるのだが…


出る場所は私が目覚めたスタート地点。

そのままあっという間に見つかって…死ぬよりも酷い経験をした。


今思い出しても吐き気がするくらいのことだ。


だから、動かなければいけなかった。


そして、奥へと進んでいった。

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