百物語
今日の舞台は今まで見たことのない薄暗く、湿っぽいこれまでで1番汚ならしい廃墟だった。
今思い返せば…見始めた当初はもっと綺麗な廃墟だった。
それが段々と汚くなり、今では数十年廃墟になってた山奥にある心霊スポットの病院みたいな建物だ。
建物の状況は私の心理状態を表しているのかもしれない。
今日で終わらせてやる。
そして、今までの経験を生かし階段を上がる。
さっき見たときは4階くらいまである建物だった。
上へ下へ進んで行けば逃げ切れる可能性は高くなる。
それに初めは1階から化け物は探し始める。
鉢合わせになることを防ぐ意味もあった。
2階のフロアの奥に部屋があり、そこには窓があった。
窓から外が見れそうだったので覗いてみると…地面が黒い渦を巻いているところであった。
ーー来る。
そこから影のような黒い塊が出てきた。
キョロキョロと辺りを見返して奴が、中に入っていくのが見えた。
慌てて私はもと来た階段へ戻り下の踊り場を見る。
ズッ…ズルズル…
何かが引き摺ってくるような音が微かに聞こえてきた。
静かに3階まで上がる。
3階の階段の踊り場から少しだけ頭を出して下を見て様子を伺うと音は段々と大きく聞こえてきた。
奴が1階の踊り場にきた。
辺りを伺う仕草をしたのと同時に私は頭を引っ込めた。
見えないとあいつは言ってたけど…万が一その推測が外れてたら見付かれば追い掛けられる。
いずれ追い掛けられる状況はやってくるが…なるべく鬼ごっこはしたくない。
耳だけを済ませて静かに呼吸をし、微動だにせずそこに座り込む。
のそのそと上に上がってくる音が聞こえた。
このまま上にこられたら4階ではなく、3階のフロアで撒くしかない。
階段では嫌でもこの廃墟に音が響く。
4階まではまだ行ってなかったので行き止まりだったら詰む。
だから3階に来てしまったらこのフロアで逃げ切るしかない。
頼む…こないでくれ…!
祈るように私は息を潜めた。
心臓が早鐘のように鳴り響き、痛いくらいだった。
のそのそと上に上がってくる音が一旦止んだ。
また様子を伺っているのだろう。
今にも口から出そうな心臓を、無駄とわかりつつも落ち着くように胸の部分を強く押さえた。
来るな 来るな 来るな 来るな…!
時間にしてほんの数分であったであろうが長い時間に感じられた。
そして、奴はそこから2階のフロアを確認するために奥へすすんでいった。
今思い返せば…見始めた当初はもっと綺麗な廃墟だった。
それが段々と汚くなり、今では数十年廃墟になってた山奥にある心霊スポットの病院みたいな建物だ。
建物の状況は私の心理状態を表しているのかもしれない。
今日で終わらせてやる。
そして、今までの経験を生かし階段を上がる。
さっき見たときは4階くらいまである建物だった。
上へ下へ進んで行けば逃げ切れる可能性は高くなる。
それに初めは1階から化け物は探し始める。
鉢合わせになることを防ぐ意味もあった。
2階のフロアの奥に部屋があり、そこには窓があった。
窓から外が見れそうだったので覗いてみると…地面が黒い渦を巻いているところであった。
ーー来る。
そこから影のような黒い塊が出てきた。
キョロキョロと辺りを見返して奴が、中に入っていくのが見えた。
慌てて私はもと来た階段へ戻り下の踊り場を見る。
ズッ…ズルズル…
何かが引き摺ってくるような音が微かに聞こえてきた。
静かに3階まで上がる。
3階の階段の踊り場から少しだけ頭を出して下を見て様子を伺うと音は段々と大きく聞こえてきた。
奴が1階の踊り場にきた。
辺りを伺う仕草をしたのと同時に私は頭を引っ込めた。
見えないとあいつは言ってたけど…万が一その推測が外れてたら見付かれば追い掛けられる。
いずれ追い掛けられる状況はやってくるが…なるべく鬼ごっこはしたくない。
耳だけを済ませて静かに呼吸をし、微動だにせずそこに座り込む。
のそのそと上に上がってくる音が聞こえた。
このまま上にこられたら4階ではなく、3階のフロアで撒くしかない。
階段では嫌でもこの廃墟に音が響く。
4階まではまだ行ってなかったので行き止まりだったら詰む。
だから3階に来てしまったらこのフロアで逃げ切るしかない。
頼む…こないでくれ…!
祈るように私は息を潜めた。
心臓が早鐘のように鳴り響き、痛いくらいだった。
のそのそと上に上がってくる音が一旦止んだ。
また様子を伺っているのだろう。
今にも口から出そうな心臓を、無駄とわかりつつも落ち着くように胸の部分を強く押さえた。
来るな 来るな 来るな 来るな…!
時間にしてほんの数分であったであろうが長い時間に感じられた。
そして、奴はそこから2階のフロアを確認するために奥へすすんでいった。