百物語
「ふぅ……」


とりあえず一安心だ。


安堵からため息をつく。


とりあえず2階のフロアに行ってるだろうから、その間に3、4階のフロアの確認をしよう。


そう思って立ち上がった瞬間だった。


ーーパキッ


「!!!!!!」


足元を見るとその場所は少し朽ちていて、その部分の床にヒビが入った音だった。


しまった…!!


決して大きな音じゃなかった。


しかし、この廃墟にはそんな音もいやという程響き渡った。


それに気づいたのか遠ざかっていた音が猛スピードで戻ってくる音を感じた。


ヤバい ヤバい ヤバい ヤバい!!


今にも走り出したくなりそうな衝動を必死で抑える。


今、走れば奴の思うつぼだ。


音を察知して永遠に追いかけてくるだろう。


かといってこの場所はすでにバレた。


そのまま3階に逃げるか…4階に行くか。


もはや考える猶予はなかった。


なるべく遠くに……!


私は四階に向かうことにした。
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