still



過去を振り返っても何も良いことないんは、わかってる。


けど振り返ってしまう。


そんな時ガチャンとドアが、開く音がした。


振り返ってみると―…


「…りょ…や」


何回も目で追って、
何回もあんた思って泣いて、

大好きで仕方ない涼矢がいた。


「沙優…」


涼矢は、一瞬驚いた顔をしたがすぐに冷たい目であたしを見た。


「何してんの?」


久しぶりに声をかけられたからか、心臓は激しく波打ち始めた。


「…別に」


「そ」


沈黙。
重苦しい空気があたしらを包む。


「またてっきり男といちゃいちゃしてたんかと思ったわ」


あたしを一切見ずに話す涼矢。

「…いちゃいちゃって。
だいたいここに男、涼矢しかおらんやん」


「まぁ」


涼矢…違うねんで。
あたし、あん時もいちゃいちゃしてたわけちゃうねんで。


いっそあの時の事を
話そうかと迷う。


言ったらあんたは受け入れる?

…ううん。
今更で終わるやんな。


やば…泣きそう。



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